カムイ。 カムイ伝

カムイとは (カムイとは) [単語記事]

カムイ

2019年1月 を更新しました。 2018年11月 は、カンボジアビジネスを展開するCATSコーポレーション合同会社を設立いたしました。 2018年10月 2018年7月 は、カンボジア農業法人ALTAGE社と業務提携を結びました。 両者の緊密なコミュニケーションを通し、東南アジアと日本の架け橋を担っていきます。 2018年7月 は、大手信託銀行様にAIパッシブヘッジサービスを提供いたしました。 2018年7月 子会社を設立いたしました。 AIを活用したコンサルティングが主力業務となります。 なお、同社の設立をもち、カムイ・キャピタルの手がけていたコンサルティング事業及び内部留保を活用したベンチャー育成投資は子会社に移管いたします。 カムイ・キャピタルは、機関投資家向けの投資助言業務及び投資事業組合の組成・運用に業務を集中します。 2018年7月 201 8年6月末をもって、当社第7期決算が終了いたしました。 助言契約数9本、ファンド数10本となりました。 (なお、当社助言採用先は国内外の機関投資家、年金基金であり、個人および事業法人のお客様のご依頼は受け付けておりません。 ) 2018年3月 自動車販売台数予測にかかわるAIシステムの開発を行いました。 同モデルは、TTNI(TT Network Integration US, Inc. )への提供を通じ、北米トヨタ自動車 Toyota Motor North America, Inc. )において活用されております。 2017 年12月 を開始しました。 2017 年10月 「 CHAM 日本中小型株ファンド」への助言を開始いたします。 2017 年9月 2017 年9月 採用情報を更新しました。 詳細は。 2017 年9月 大和投資信託に対し日本株カムイAI戦略ファンドへの助言を開始しました。 2017 年8月 日本経済新聞により当社が開発した日本株カムイAI戦略ファンドがとりあげられました。 2017 年8月 経営基盤強化のため資本金30百万円に増加しました。 2017 年 4 月 にて弊社 AI ファンドの特集が放送されました。 今後、同番組に毎週弊社 AIモデルによる株価の騰落予想を提供します。 2017 年 3 月 新プロダクトとしてビッグデータを活用した AI (人工知能)ファンドの開発を開始します。 2016 年 11 月 フランス年金向けファンドへの助言を開始しました。 2016 年 10 月 国内公的年金向けファンドへの助言を開始しました。 2016年8月 地方金融機関等を対象としたカムイジャパンファンド 運用会社中銀アセットマネジメント への助言を開始しました。 2016年6月 大手企業年金基金向けのファンドへの助言を開始いたしました。 2014年3月 ラッセル・インベストメント株式会社とラッセル日本株式マザーファンド(マルチマネジャー)に係る助言契約を結びました。 2014年3月 本社を秋葉原に移転しました。 2013年3月 シンプレクス・カムイ・ライジングファンドがローンチ、 同ファンドへの助言がスタートしました。 2012年12月 12月24日に社名を「カムイ・キャピタル株式会社」に変更いたしました。 2012年10月 10月1日より、適格機関投資家を対象としたカムイ投資事業有限責任組合の 運用管理をスタートしました。 2011年10月 弊社代表大石透功がテレビ東京「Mプラス」に出演しました。 2011年9月 Bloombergニュースに弊社の事業開始が紹介されました。 2011年9月 11年トムソンロイター社集計スターマインアワードで弊社代表取締役社長大石透功が Retail部門のトップアナリストとなりました。 2011年7月 当社は、2011年7月1日に設立いたしました。

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カムイ伝

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カムイ伝の系譜 白土三平(1932年生 )はプロレタリア画家の岡本唐貴を父にもち,妹は絵本作家の岡本颯子,弟の岡本鉄二は「赤目プロ」で作画を担当しています。 紙芝居,貸本屋,前衛誌,劇画の世界を歩んできた,日本の漫画界の巨人です。 1960年代には「忍者武芸帳 影丸伝」,「サスケ」,「ワタリ」,「カムイ伝」など忍者を題材とした作品で人気を博しました。 特に「忍者武芸帳 影丸伝」は貸本屋時代のヒット作であり,カムイ伝がなければ氏の代表作となるほどの高い評価を得ています。 一方,カムイ伝はまちがいなく白土の代表作であり,執筆開始から半世紀近くが経過しても完結していない氏のライフワークとなっています。 「カムイ伝」とは忍者カムイを主人公とする物語ですが,作品世界を共有する下記の作品の集合体ということができます。 白土はカムイ伝の執筆を開始する前から3部作になることを明言しています。 第一部が終了(1971年)してから第二部が開始(1988年)されるまでの17年間は漫画家としてもっとも充実しているはずの時期ですので,ここが空白期間となったのは大きな痛手となっており,氏の年齢を考えると第三部が実現するかどうかは不透明です。 とはいうものの,カムイ伝が壮大なテーマをもって本当に輝いていたのは「カムイ伝 第一部」ということになります。 私としては「カムイ伝」は第一部で完結してもなんら違和感はありません。 第一部には日本の歴史の中でもっとも身分制度が厳しかった江戸時代における階級社会の矛盾,人が人を差別することの不条理,人が人から搾取することへの怒りというテーマに貫かれていますが,それでは第二部のテーマは何かと問われると答えようがありません。 第二部では江戸時代の歴史の中で登場人物を動かしているだけに見えるのは私だけでしょうか。 第一部と第二部は体裁は類似していてもまったく異質の作品なのです。 カムイ伝から社会の抱えている様ような矛盾や社会の底辺で懸命に生きる人々の姿を取り去ると,後には娯楽作品としての評価しか残りません。 「カムイ外伝」は「カムイ伝」の重いテーマから脱け出し,抜け忍となってからのカムイが追っ手と繰り広げる秘術を駆使した戦いであり,カムイと社会との関わりを描いた娯楽作品となっています。 外伝は最初からそのために作られたものですからまったく違和感はありません。 それに対して「カムイ伝」の本作はあくまでも白土氏が描こうとした重いテーマで進めて欲しかったと考えます。 残念ながら白土氏が17年間苦吟しても第二部の重いテーマは見つけ出せなかったように感じます。 それは,多くの人たちが指摘しているように日本社会の思想的変動によるものが大きいと考えます。 「カムイ伝 第一部」のメインテーマは反差別,反権力,村落コミューンであり,それぞれのテーマの具現者がカムイ(非人),草加竜之進(武士),正助(農民)という優れた個人でした。 彼らはそれぞれの役割を果たすことにより物語は進展していきますが,第一部の最後ではそれぞれに与えられたメインテーマに挫折しており,捲土重来を期すことになります。 私などは第二部も権力と対峙して人間の権利を取り戻す闘いがテーマになると思っていましたが,白土は日本社会の左翼思想の退潮が読者をしてそのようなテーマを消化できないという危惧を抱かせたのではと推測します。 確かに1960年代の学生運動の盛り上がりは1970年代に入ると急速にしぼみ,終焉してしまいます。 「カムイ伝 第一部」が終了したのはちょうどその頃であり,そのような変化と軌を一にして白土三平作品の愛読者は激減したという報告もあります。 1960年代の白土三平ブームは学生運動の終焉とともに終わりを迎えることになったのです。 社会的背景の変化を目の当たりにして,自身の社会思想をカムイ伝の中で語ってきた白土氏が容易に第二部の構想に着手できなかったのは当然であり,その苦吟の深さはいかほどかと考えます。 第二部の構想が具体化しないまま白土氏は「神話シリーズ」,「カムイ外伝」に歩を進めます。 このような事情から私は(第三部を見ずに断定するのことはできないにしても)「カムイ伝 第一部」には白土三平の思想と苦悩と才能がすべてが凝縮されているので,ここで完結してもてよいと考えるわけです。 以後,カムイ伝=第一部として扱っていきます。 「カムイ伝」の特徴はなんといっても物語の密度にあります。 通常の漫画単行本でしたら1日あれば21巻は楽に読み通すことはことはできます。 しかし,「カムイ伝」はその2-3倍の時間をかけないと内容をちゃんと理解することはできません。 「カムイ伝」の物語密度はそのくらい高いものなのです。 発表当時は月刊誌の「ガロ」に掲載されていましたので,読者はストーリーを追うのに相当苦労したであろうと想像できます。 「反権力」,「反差別」,「農村コミューン」を題材とし,しかも大変な密度の物語を発表できたのはひとえに「ガロ」という媒体があったおかげであり,この雑誌があってはじめて「カムイ伝」は可能であったのです。 月刊誌「ガロ」は1964年に貸本漫画の出版などで知られていた編集者・長井勝一により創刊されました。 「ガロ」は「カムイ伝」の発表媒体であったとともに,斜陽化していた貸本漫画家の活躍の場を提供していました。 また,商業誌にはなじめない作品を描く新人も受け入れていた前衛誌でした。 読者層は大学生以上の年代であり,商業性よりも作品のオリジナリティを重視する姿勢は,多くの優れた作品を生み出しています。 しかし,看板作品である「カムイ伝」が1971年に終了するとガロの発行部数はしだいに落ち込んでいき,1990年には青林堂からツァイトに経営譲渡されています。 60年代と70年代を共に駆け抜けた「カムイ伝」と「ガロ」は時代のある部分を写す鏡のようなようなものでした。 カムイ伝が始まった1964年前後は白土がもっとも多様な作品を発表していた時期にあたります。 1961年には「シートン動物記」,「赤目」,「真田剣流」,「サスケ」を完結させ,1962年には氏のもう一つの傑作である「忍者武芸帳」を完結させています。 カムイ伝が開始されてからも並行して「ワタリ」,「風魔」,「カムイ外伝(少年サンデー版)」を発表しています。 この時期の白土氏は超多忙であり,作品制作のため1964年に「赤目プロダクション」を設立しています。 このような分業体制により多くの作品をこなすことができました。 プロダクションの設立は漫画家個人と出版社の力関係に限界を感じていた白土氏がその改善を目指したという側面もあります。 カムイ伝も「赤目プロダクション」による分業体制で制作されています。 前半のペン入れは小島剛夕が,後半のペン入れは白土氏の弟の岡本鉄二がそれぞれ担当しています。 そのため,単行本の13巻あたりからは作画が変化しています。 カムイとは カムイは神威などとも表現され,「神を意味するアイヌ語」とされていますが,必ずしも私たちの考えている絶対的な超越者を意味するものではありません。 近代以前のアイヌの人々の宗教観はアミニズムであり,生物・無生物を問わずすべてのもの,あるいは自然現象(地震,津波,疫病など)の中に「ラマッ」と呼ばれる精霊が宿っていると考えていました。 アイヌの人々は世界を「人間の住むところ(アイヌモシリ)」と「精霊の住むところ(カムイモシリ)」に分けて理解していました。 アイヌモシリのラマッは何らかの役割をもってやって来ており,その役割を果たすと再びカムイモシリに戻ると考えていました。 日本語の精霊に相当するアイヌの言葉は「ラマッ」ですから,カムイに相当する日本語は思い当たりません。 私は北海道出身ですので「カムイ」という言葉は小さなころから知っていましたが,北海道以外の日本人がこの言葉を知るようになったのは「カムイ伝」によるところが大きいことでしょう。 この特異な響きをもつ言葉は作品中では双子の兄弟とシロオオカミの名前として使用されています。 どちらの場合も命名者は山丈(やまじょう)という山に棲む巨人です。 山丈は大きな感銘を受けたときに「カムイ」と口走ります。 夙谷(しゅくだに)に現れた山丈は幼児から握り飯を差し出され,幼児を抱き上げて「カムイ」と口にします(第1巻)。 猟師の犬たちに追い詰められたシロオオカミは断崖を背にして犬と闘い全滅させます。 これを見た山丈が「カムイ」と叫び,彼に向かって手を合わせます(第4巻)。 物語の最終盤には日置大一揆があり武士と戦う一揆衆を後押しするように山丈が「カムイ…オオーッ」と叫びます(第19巻)。 作品中には「人のこころの強さ,美しさ,豊かさに喜びと尊敬の感動があるとすれば,この叫びは一つのものとなる」と解説されています。 「カムイ伝」を白土三平のもう一つの代表作とされる「忍者武芸帳」と比較すると,エンターテインメント要素が可能な限りそぎ落とされ,徳川幕藩体制下で様ような矛盾に突き当たりながらも,懸命に生きていこうとする人々の姿が克明に描かれています。 「忍者武芸帳」では一つの集団として描かれていた農民を「カムイ伝」では個人のレベルまで掘り下げて,圧倒的なリアリティと物語の重厚感を紡ぎ出しています。 物語のタイトルとなっている「カムイ」は忍者カムイとシロオオカミだけではなく権力や差別に立ち向かっていく多くの人々の象徴となっています。 言いかえると物語の中には多くの「カムイ」が存在し,新しい人間社会を目指す彼らの苦悩と行動を描き出すことが「カムイ伝」の最大のテーマとなっていると考えます。 差別の構図 カムイ伝の作品世界は人間の世界の物語と狼の世界の物語が並行するという特殊な形態をとっています。 なぜ,作者はサブストリートしてシロオオカミを登場させたかを考えると,この作品のテーマの一つである「差別」の本質が見えてきます。 同じときに生まれた数匹の子どものうち一匹だけは毛色が白でした。 残りのものは本来の茶系統の毛色であり,兄弟の中で早くもシロオオカミに対する差別が生じます。 このような差別が動物の世界で実際に起こりうるのかどうかという点については疑問が残りますが,作者としては動物の世界でも異質のものは差別され,それは人間の世界と同じだということなのでしょう。 実際,古代インドでは中央アジアから侵入していきた印欧語族のアーリア人が先住民族のドラヴィダ人を隷属化あるいは駆逐してガンジス川流域を支配するようになりました。 彼らは自然現象を神々として崇拝する宗教を持っており,その聖典「リグ・ヴェーダ(神々の讃歌)」の中に「ヴァルナ」およびそれに基づく職業階級制度(ヴァルナ・ジャーティ)を記しています。 「ヴァルナ」はそのものずばり「色」を意味しており,肌の色を基準とした階級制度となっています。 最大の目的は色の白いアーリア人と褐色の先住民族を識別することでした。 ヴァルナが大まかな概念であることに対して「ジャーティ」は内婚と職業選択に関するものであり,2,000とも3,000ともいわれるジャーティはかならずいずれかのヴァルナに属することになります。 このような社会慣習を総称してポルトガル人は「カースト」と呼ぶようになり,その言葉は現在まで使用されています。 しかし,本来の階級を決める要素は「ヴァルナ」なのです。 人間は作者のいうオオカミと同様に肌の色で差別を行い,肌の色が同じ集団でも,社会慣習的な差別を定着化しています。 日本の中世には河原に住み牛馬を殺して皮を剥ぐ仕事をしていた職業集団が穢れているとして「穢多(エタ)」と差別されています。 しかし,支配階級であった武士にとっては馬具や甲冑の材料として欠かせない皮革製品を生産させるために賎民のまま一定の優遇をしたようです。 江戸時代になると支配体制の安定化と経済的必要性から食糧生産と皮革生産は職業として固定化する必要が生じ,士農工商という職業階級制度を制定し,その下に賎民身分として「穢多」,「非人」を定着化させています。 つまり,他の階級との婚姻を禁止することにより身分の定着化が図られています。 それはインドの「ヴァルナ・ジャーティ」の内婚制度,職業制度と結びつくものです。 カムイ伝における非人の身分は「穢多」に相当します。 江戸時代の「非人」は固定的な賎民身分ではなく,平民が非人になることも非人が平民に戻ることもあったとされています。 しかし,おそらく作者は「穢多」という差別用語を使用するのにためらいがあり,「非人」という言葉で代表させたのではと推測します。 ただし,「穢多」を差別する意識は支配階級が意図的に作り出したものではなく被支配階級(平民,大多数は農民)の中から自然発生的に生じたもののようです。 支配階級は社会の安定化と身分制度を正当化するため,人々のもつ差別意識を利用したと考えます。 もちろん,支配階級にとっては農民と切り離された賎民階級は人々の分断支配の手段として利用できたという側面もあります。 私自身も「エタ」という活字を初めて目にしたのは住井すゑさんの「橋のない川」でした。 この著書の中には被支配階級であった人々が新平民となった人たちに対する抜きがたい差別意識が赤裸々に描かれています。 まさしく,差別意識は私たち自身の心の中から生まれてくるものなのです。 カムイ伝の中では非人(穢多)は支配階級の都合により社会の最底辺の階級とされており,農業は禁止され,平民との結婚も禁止されているという設定となっています。 これは支配,被支配という構図に基づく階級闘争の立場から必要な視点でした。 しかし,繰り返しになりますが,差別意識の源泉は支配されている人々のこころの中にもあることを私たちは認識しなければなりません。 このような差別意識は現代にも引き継がれており,社会的弱者や異質なものを貶める意識につながっています。 白土は江戸時代における階級社会の矛盾,人が人を差別することの不条理の象徴として日置藩の秘密をもってきています。 カムイと公儀隠密の「搦の手風(からみのてぶり)」は徳川家康が「ささらもの(簓者・筅者)」出身であることを証明する古文書を見つけ出します。 賎民出身の徳川宗家を頂点とする身分制度は矛盾そのものであり,逆にいうと身分制度は支配階級の都合により制度化されたものであることを明示しています。 同時に高貴な身分や高貴な血筋も人為的に作りだされたことになります。 白土は直接的な表現はしていませんが,高貴な血筋を敬うこころと差別を生み出すこころは同質のものだと言いたいのだと私は解釈しています。 この江戸徳川体制の根本的矛盾を知った人々の運命は明らかです。 カムイと搦の手風は自分の身を守るために抜け忍にならざるをえず,新領主に日置藩の秘密を言上した城代家老の三角重太夫は惨殺されます。 新藩主は松平伊豆守に家康の出自に関する秘密文書を送り届けますが,当然のように口封じのため事故にみせかけて暗殺されます。 松平伊豆守は誰にも相談することなく秘密文書を燃やし,徳川体制の矛盾は闇の中に消えていきます。 カムイ伝の世界 カムイ伝の主人公に相当するのは「非人のカムイ」,「下人の正助」,「次席家老の嫡男・草加竜之進」という三人の若者と「シロオオカミ」と考えるべきす。 ただし,彼ら以外にも社会の矛盾や差別と闘った多くの人々が描かれており,彼らはすべてこの作品の主人公ということもできます。 上にあげた3人と1匹は登場回数が多いので主人公に相当するという表現をさせてもらいました。 物語の時期は江戸時代の前期,舞台となるのは架空の日置藩です。 カムイ(非人),正助(下人),竜之進(武士)という三人のすぐれた若者が徳川の幕藩体制の礎石となっている身分制度と関わり合いをもちながら自分の生きる道を模索していきます。 また,人間社会の外にあっては「カムイ」と呼ばれる突然変異のシロオオカミがハンディキャップにもめげず,強く生き抜いていくサブストーリーもこの作品の一つのテーマとなっています。 さらに,彼らを取り巻く大勢の人々の生き方が重層的に描かれており,「大河小説」と呼ぶべき体裁をもっています。 そのような人々の生き方の総体が「カムイ伝」となっており,たとえあらすじでもストーリーを書き連ねることはとてもできません。 そこで,登場人物の何人かに焦点をあてて,物語中で果たした役割を書くことにします。 それにより,「カムイ伝」がどのような物語であったかを類推していただきたいと思います。 物乞いに甘んじる非人社会から脱け出すため,夙谷非人部落を出て単身で生活するようになり,非人部落の若者たちのリーダーとなります。 しかし,百姓との諍いにより人を傷つけることとなり,斬首の刑に処せられます。 荼毘に付された彼の頭骨を拾い上げた兄は弟の犬死を嘆きます。 カムイ兄は強くなるため剣を修行し,さらに忍者の道に入ります。 厳しい訓練の結果,カムイは一流の忍者になりますが,組織の中にあってはまったく自由はありません。 与えられた任務を命がけで遂行する存在となった自分の生き方に大きな疑問をもつようになります。 特に抜け忍となり多くの追っ手を殺害した自分の兄弟弟子である「風のトエラ」の殺害を命じられたとき,さらには師匠の「赤目」の殺害を命じられたときは任務遂行に大きなとまどいを感じることになります。 そして,カムイ自身もそのような立場に追いやられることになります。 公儀隠密集団は土井大炊頭(利勝)の遺言から外様大名である日置藩にはなにか大きな秘密が隠されていると推定し,その探索をカムイに命じます。 カムイは日置藩の江戸屋敷と城代家老宅の池で飼育されている多くの亀の中から餌付けにより識別された特別の亀を見つけ出します。 二匹の亀の甲羅の内側には金で文字が彫り込んであり,上の句と下の句を合わせると「風鳴りに眠れる六蔵のうちに有りて日を仰げば乱(あや)立ちぬ」となります。 この句の謎を解いてカムイは日置藩の秘密にたどりつきます。 それは徳川家康の出自に関する古文書であり,家康が賤民の出自であることを証明するものでした。 徳川幕藩体制の礎石を崩すような重大な秘密を知ることとなり,そのまま報告すれば(秘密を守るため)自分が抹殺されることになります。 残された道はただ一つ,組織から抜けることしかありません。 カムイは組織を抜け,抜け忍として公儀隠密から狙われる存在となります。 江戸時代の農民階級の下人は名主や庄屋などの有力者に隷属する階層の人々です。 下人の歴史は古く,平安中期に遡ります。 当時は家に隷属する人々でしたが,江戸時代になると家内隷属型ではなく年季奉公のような形態となってきています。 物語の中では花巻村の庄屋宅では家に隷属している人々とされており,「めったに嫁ももらえない」という表現がありますが,それでは下人は一代限りとなりあとが続きません。 おそらく,下人身分でも婚姻があり,次の世代も親と同じように家に隷属する身分となるようです。 正助はものごころがついたときから母を知りません。 若いときダンズリは行き倒れの若い娘を助け,結婚します。 しかし,正助が生まれたとき女は自分が非人であることを打ち明けます。 非人などと血を結んでしまったことに怒ったダンズリは女を責め,彼女は首をつります。 正助がこの事実を知ったのはずっと後のことですが,身分制度などにとらわれない性格に育ちます。 それは父親が下人として牛馬のように使役させられてきたことを見てきたことによります。 少年となった正助は非人部落のスダレ(苔丸)やナナと親しく交流するようになります。 正助は伊集院により学問を教わり,神童と言わしめています。 庄屋の帳簿なども読むことができるようになり,虫干しのとき年貢の割り付け帳の不正を読み取り,写しを作成します。 百姓の読み書きは禁じられていますので,本を読んでいたことを知られた正助は庄屋にムチで打たれます。 しかし,正助は割り付け帳のことを持ち出し,難を逃れます。 庄屋は自分の不正の証拠を取り戻すため小さな田と本百姓の身分と引き換えに写しを返すように取引をもちかけます。 こうして正助は本百姓になることができました。 正助が取り組んだのはこの地域では初めてのワタの栽培でした。 百人手間といわれたワタ栽培の成功は商人の夢屋の注意を引くことになります。 正助は農機具の発明などを通して村の若者のリーダーに成長します。 正助は非人の娘ナナ(カムイの姉)と実質婚となります。 正助の理想は新田開発と新作物により非人を含め村全体を豊かにすることです。 村では若者組が組織され,新しい形態の村落コミューンが形成されます。 少年時代からの友人のゴンは若者組のサブリーダーとして活躍し,非人部落のスダレ(苔丸)もそれをサポートします。 新田開発により非人部落との交流も活発化しますが,それは支配階級にとって好ましいものではなく地域の非人を束ねる横目を通して分断工作が行われます。 それでも正助の描いた村落コミューンは次第に現実の姿となっていきます。 しかし,藩札の発行により商品作物の取引はピンチとなります。 自分たちの生産物は領内でしか通用しない紙になってしまうのです。 しかも,藩札の乱発により諸物価は天井知らずに上がることになります。 そんなとき,天候不順による飢饉が村を襲います。 餓死するよりは一揆で闘おうとする竜之進や苔丸に対して正助は逃散の道を選択します。 人々は各地の職場で働くことになります。 日置藩の秘密が幕閣の手により処分されたことにより,幕府は日置藩を取りつぶし天領とします。 逃散していた人々は元の村の戻り農業を開始します。 新代官には笹一角(実は竜之進)が就任し,百姓と力を合わせて新しい村づくりを目指します。 しかし,夢屋は幕閣に手を回し,代官を更迭し,この地域の商品作物の独占を図ろうとします。 幕府名代の検地を機に「日置大一揆」が勃発します。 一揆の首謀者となった正助は領内の百姓を組織して名代に検地十万日延期の証文を書かせます。 一揆は成功しますが,苔丸を除く首謀者は京都所司代に送られ過酷な拷問を受けます。 これに耐え,江戸の白州で正助は「百姓なくしてこの国はない」と絶叫します。 しかし,百姓たちの死を賭した叫びは支配者には届くことはありません。 ひとり正助は舌を切断され,花巻村に戻されます。 正助が裏切って自分だけが助かったと誤解した村人はしゃべることのできない正助に石を投げ,打ちかかります。 恵まれた環境で育ち,剣技を磨いています。 藩主がお蔵役方を変えることに次席家老が反対したことによりうらみを買い,果し合いの名目で暗殺されそうになり左手の指の一部を失います。 しかし,百姓女オミネが藩主に夜伽を命じられて自害したことにより,左手の不自由を克服した剣技を編み出します。 日置藩の台所は火の車であり,暗愚な藩主は目付の橘軍太夫の甘言により草加一門を誅殺して所領を没収することに同意します。 竜之進は姦計により主君の顔に傷をつけてしまいます。 これにより草加家が取り潰しとなり一門は誅殺されることになりますが,勘兵衛は御一門払いの真相を見抜き,その前に竜之進を勘当します。 これにより,竜之進は生き残ることになります。 竜之進は笹一角とともに軍太夫に対する復讐の機会を狙います。 参勤交代で江戸表に出立する藩主の行列に切り込み,鉄砲で撃たれ,危ういところをカムイに救われます。 竜之進と一角は非人部落に身を隠すことになり,百姓や非人の置かれている境遇を知ることにより,階級制度の矛盾に目覚めていきます。 竜之進と一角は時期をみて江戸に脱出します。 竜之進の仇は橘軍大夫でしたが,暗愚な藩主が領民を苦しめていることから殺害しようと江戸屋敷に滞在中の領主の動向を探ります。 振袖火事の混乱の中で二人は藩主に迫りますが,カムイに阻止され,竜之進は重傷を負います。 カムイは日置藩の秘密を探るため藩主を死なせるわけにはいかないという事情があります。 傷の癒えた竜之進は一角ともに日置藩に戻り,百姓仕事に精を出します。 しかし,一角はそのような生活に藩主殺害の決意が鈍るのを恐れ,竜之進とたもとを分かち,江戸に出立します。 竜之進は恐るべき無人流の使い手である橘玄蕃と対決することになります。 竜之進は敗れ,危ういところを小六に扮したカムイに救われます。 竜之進はその後,無人流を使うカサグレに出会いこの恐ろしい剣技を会得することになります。 竜之進はかってこの地を支配していた豪族の流れをくむ木の間党に身を寄せ,悪徳商人や大庄屋を襲い,その金を人々に分け与えます。 飢饉が日置藩を襲ったとき竜之進と苔丸は一揆を主張しますが,正助は逃散を選択します。 竜之進は木の間党に裏切られ捕縛され江戸送りとなります。 江戸の白州では藩主を殺害した笹一角が草加竜之進と名乗り,取り調べを受けており,彼の口から藩主殺害が明らかになったことから日置藩はお取り潰しとなり,関係者は処分されることになりました。 一角は打ち首を拒否し,武士としての最後を遂げます。 これにより竜之進は笹一角として天領となった日置の代官として赴任することになります。 竜之進は日置の地に戻った百姓とともに農村の復興を目指し,多くの成果をあげます。 しかし,夢屋が幕閣に手を回し,この地域の商品作物の独占を図ろうとします。 竜之進は罷免され,新代官により入牢となります。 日置大一揆のときに竜之進は赤目により救い出されます。 優れた資質をもったカムイ,正助,竜之進の三人の若者はそれぞれ反差別,反権力,村落コミューンを実現するために最大限の努力をしますが,権力あるいは権力と結びついた政商によりその夢を断たれます。 第一部の終了時はまさに死屍累々といった状態であり,徳川幕藩体制の重しは個人的な努力ではまったく変革できないと知らされた第一部の状況からどのように第二部につなげていくかは皆目見当がつかない状況でした。 作者自身もあとがきで「いまやっとカムイ伝三部作のうち第一部が終わったところだ。 しかし,物語の真のテーマはいまだに現れていない。 何と不可解なことであろう」と述べています。 実際,登場人物の大半が死んでしまうという第一部の結末から第二部の壮大な物語を発展させるためにはそれに倍するエネルギーが必要になります。 これは白土氏の才能をもってしてもあまりにもハードルの高い仕事であったと思います。 白土氏はなにをもってカムイ伝は三部作になると明言したのかは知る由もありませんが,個人的には第一部でも十分に作者の描きたかったものが出ていると考えます。 作品データ• 作者 : 白土三平(1932年生)• 著作時期 : 1964年-1971年• 単行本数 : 全21巻• 発表雑誌 : ガロ 作者の他の作品• 忍者武芸帳(1959年-1962年)• サスケ(1961年-1966年)• 忍法秘話(1963-1965年)• ワタリ(1965年-1966年)• カムイ伝第二部(1988年-2000年)• カムイ外伝(1982年-1987年) 主要登場人物 カムイ(弟) 物語序盤の主人公,非人部落の出身,物乞いに甘んじる部落の人々とは異なり,自由と誇りを求め単身で生きようとする。 部落の子どもを罰するため木の枝から吊るして死亡させた百姓の家に押し入ったため捕らわれ,斬首の刑に処せられた。 カムイ(兄) 弟の死後に登場した一卵性双生児の兄であり物語の主人公となる。 弟と同様に自由と誇りを求め,強くなるため剣を修行し,さらに忍びの世界に入る。 師匠であった赤目が抜け忍となったことに大きな影響を受ける。 日置藩の秘密を突き止めたことにより,組織を抜けることになる。 正助 花巻村の下人の息子,母親は非人の出身であり正助を生んだ後,事情を打ち明け自害している。 非常に聡明で勤勉であり,下人の身でありながら若者たちのリーダーとなっていく。 本百姓となり,若者組を率いて非人を含めた豊かな村づくりを目指す。 草加 竜之進 日置藩の次席家老草加勘兵衛の嫡子,若くして剣の才能を開花させる。 橘軍太夫の姦計により草加家が取り潰しとなり一門は誅殺される。 父親に勘当されたため生き残ることになり,橘軍太夫に対する復讐の機会を狙う。 カムイ伝・第二部 第二部も動物の世界と人間の世界が並行して描かれています。 動物の世界ではニホンザルのコミュニティにおけるボスの地位を巡る血みどろの闘争が描かれています。 サルの群れと対立する野犬の群れでもリーダーをめぐる争いがあり,こちらは外来種のグレートデンが圧倒的な力の差によりボスの座につきます。 しかし,この二つの勢力はシロオオカミに率いられる狼群や人間の世界とはほとんど関わり合いをもちません。 人間の世界では一転して江戸と千葉が物語の舞台となり,動物の世界と同様に権力闘争が描かれています。 第一部から引き続いて登場するのはカムイ,正助,竜之進と代官の錦丹波だけです。 旧日置藩のとなりの望月藩では望月佐渡守が兄の所領を手中に収めようと画策しています。 佐渡守とじっこんの幕府大老酒井忠清は将軍家の権力を牛耳ろうと姦策を弄しています。 このように第二部は動物の世界も人間の世界も「権力闘争」が描かれており,第一部の「階級闘争」とはまったく趣の異なる展開となっています。 そのような権力闘争の一方に竜之進やカムイが加担する形となるストリーは個人的にはどうしてそうなるのと思わざるを得ません。 真田剣流 「忍者旋風」,「真田剣流」,「風魔」と続く風魔三部作の第2作目です。 執筆時期は1961-1964年です。 おそらく貸本屋時代の作品でしょう。 白土三平の作品集は70年代の小学館漫画文庫で収集しました。 しかし,文庫本のサイズは老眼になると読むのは困難であり,手放してしまいました。 真田剣流だけは欲しいと思っていたら,最近,ブックオフで入手できました。 しかも続編の風魔も一緒に手に入りとても幸せな気持ちになりました。 関ヶ原の戦いで徳川方が勝利を収めたものの,まだ徳川幕府体制が盤石と云えない時代の物語です。 家康の懐刀と呼ばれて天海の指示で「暗夜軒」は「丑三の術」を駆使して豊臣恩顧大名を次々と暗殺していきます。 この不思議な術の謎ときが物語のテーマとなっています。 作品のタイトルとなっている「真田剣流」とは真田忍群が使用する複数の秘太刀のことをいいます。 この秘太刀と「丑三の術」を記した人物は明国から派遣された暗殺者であり,船の難破により一時期真田家に世話になり真田忍群に秘太刀を伝えます。 その後,事故で記憶を失い風魔の表の首領となっています。 彼の一人娘・桔梗は真田忍群や風魔と行動をともにして丑三の謎を解こうとします。 風魔 「忍者旋風」,「真田剣流」,「風魔」と続く風魔三部作の第3作目です。 執筆時期は1965-1966年です。 おそらくこれも貸本屋時代の作品でしょう。 物語は風魔が中心となります。 この一族は「風魔の小太郎」に率いられ,全国の忍びの生活と権利を守るための組織と説明されています。 つまり,忍びの者の労働組合のようなものです。 この風魔に対抗しようと服部半蔵の影武者・犬丸半蔵が新たな忍者集団を組織しようとします。 このもくろみは失敗します。 犬丸半蔵は次に「猿飛の一族」を風魔に対抗させようとして,これも失敗します。 最後には犬丸半蔵自身が風魔の首領に化けて組織を乗っ取ろうと画策します。 この作品では「風魔の小太郎」の二人の息子である「太郎」と「二階堂主水」が活躍します。 二階堂主水の「心の一方」は瞬間催眠法であり複数の人物が同時にかかることが可能かどうかは議論のあるところです。 また,犬丸半蔵の元で活躍した忍犬シジマの悲しい末路も描かれています。 赤目 「赤目」というタイトルの作品はいくつかありますが,この作品に登場するのはウサギです。 「赤目」というからには「メラニン色素」を作れないため毛色は白,眼球にも色素がないため内部の血管の色が透けて見えるため赤色になります。 このように遺伝子の欠損により「メラニン色素」を作ることのできないものを「アルビノ」といいます。 ペッとして飼われているウサギの多くは「アルビノ」ですのでウサギの眼は赤いと思われていますが,実際にはノウサギの毛は茶色であり,眼は黒や茶色となっています。 ノウサギは保護色のため白い冬毛をまといますが,それでも眼の色は変わりません。 この作品ではノウサギを赤目と呼んでおり,残忍な領主により妻を惨殺された農民が僧に扮して赤目のたたりを人々に信じ込ませ,食物連鎖を利用して遂には一揆を成功させます。

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カムイ伝

カムイ

カムイ伝 漫画:カムイ伝 作者 出版社 掲載誌 レーベル ゴールデンコミックス() 発表号 12月号 - 7月号 巻数 全21巻 漫画:カムイ伝[第二部] 原作・原案など 白土三平(原作) 作画 出版社 掲載誌 レーベル ゴールデンコミックス 発表号 5月10日号 - 4月10日号 巻数 全22巻 - プロジェクト ポータル 『 カムイ伝』(カムイでん)は、によるの長編。 からまで『』に連載された。 連載中、『』()に『』を不定期連載している。 1982年から1987年まで『』(小学館)誌上に『カムイ外伝 第二部』を連載、そして同誌上に1988年から2000年まで『カムイ伝 第二部』が発表された。 『カムイ伝 第三部』の発表は未定。 『』は別項目を参照。 作品内容 [ ] の様々な階級の人間の視点から重層的に紡ぎ上げられた物語となっている。 名脇役が数多く登場する壮大なスケールのこの物語は、1964年の連載開始から50年以上経過しながら未だ完結しておらず、白土自身も漫画家生活の大半をこの作品に費やしていることから、白土のライフワークとも言われる。 第一部 [ ] 発表 『』1964年12月号から1971年7月号までの全74回 単行本 1967年:ゴールデンコミックス『カムイ伝』全21巻 1979年:旧小学館文庫『カムイ伝』全15巻 1982年:小学館豪華愛蔵版『カムイ伝』全4巻 1988年:小学館叢書『カムイ伝』全15巻 1995年:小学館文庫『カムイ伝』全15巻 2005年:ビッグコミックススペシャル『カムイ伝全集[第一部]』全15巻 「カムイ」とは主人公である忍者、およびサブストーリーとして語られる狼の名前である。 主にカムイ(非人)、正助(農民)、竜之進(武士)という三者三様の若者を中心に物語は展開されてゆくが、非人のカムイは物語の進展にともない傍観者的になり、農民の正助が物語の中心になっていく。 江戸時代初頭の架空の藩を舞台に展開され、主人公もまた架空の人物である。 百姓道具の発案を作中の架空の人物にさせていることや、作品の発表された時代背景により「」「」身分を全て「非人」に統一しているなど、フィクション的要素も多い。 旧来の漫画にはみられない様々な群像が入り乱れる骨太のストーリーが高く評価され、に比しても遜色ない漫画路線の礎を築いたとされる。 それは「ヴィジュアルは映画を凌ぎ、ストーリーは小説を越えた」というかつてのキャッチコピーにもみて取れる。 白土はこの作品連載のために「赤目プロダクション」を設立。 『カムイ伝』前半のペン入れをが 、後半のペン入れを白土の弟であるがそれぞれ担当した。 物語中盤において画風に少し変化が感じられるのはそのためである(明確ではないが、全15巻型単行本では第10巻第四章辺りから)。 作品の最後に『カムイ伝』は全三部作であると述べられるが、これは当初から決まっていたことである。 ただし、第一部と作中の年号がかぶっていることなど、一部矛盾する点もある。 第二部においては、藩の場所をある程度の地域に定めており、歴史上の人物を多く中心においた構造になっている。 また、作品に執筆当時の時代の風潮を大きく取り入れる作者であるとされ、例えばに対する時代の評価などが、第一部と第二部の間に大きく変化をもたらしているとの見方もある。 第二部においては岡本鉄二が一貫して作画を行なっており、作画者としてもクレジットされている。 なお、「カムイ伝 第二部』は連載中に完結しておらず、単行本(二種)も最後まで収録されないまま続刊の発行を中止。 2006年発行の単行本『カムイ伝全集[第二部]』第12巻に初めて連載分の最後まで全てが収録され、さらにラストの5枚が追加され完結となった。 第三部 [ ] 構想は進んでいるが、発表は未定。 登場人物(第一部) [ ] カムイ(弟) 物語序盤の主人公。 身分上最下層とされる「夙谷」 (しゅくだに)と呼ばれる非人部落の出身だが、物乞いに甘んじる部落の連中を嫌って、自由と誇りを求め単身で生きようとする。 百姓小頭たちによって非人の子供が殺され、復讐のため立ち上がったが、あっけなく捕らわれ斬首の刑に処せられた。 容姿端麗で熱血漢。 カムイ(兄) 死んだはずのカムイが再び姿を現したことで、カムイに双子の兄がいることが判明する。 以後、兄カムイがシリーズを通しての主人公となる。 容姿は弟カムイと瓜二つで、弟に比べ冷静沈着。 喧騒を嫌い、特に騒がしい女を毛嫌いしている節がある。 強くなることが唯一の自由だと信じ、その信念が自らを忍の道へと導く。 類まれな身体能力と洞察力で数々の秘術を体得し、忍者としての才能を開花させた。 ときに鏡 隼人(かがみ はやと)という美剣士に変装することもある。 正助(しょうすけ) 花巻村の下人の出身で、カムイの姉であるナナ(非人)の夫となる。 また、自身も父が下人で母は非人という生い立ちである。 勤勉で利口な上、慈悲深い性格から仲間内の信頼が厚い。 のちに本百姓となり農民の生産力を高め、全ての百姓・非人の生活経済を向上させ平等な世界を築こうと人々を導く。 第一部において中心となる人物。 草加 竜之進(くさか りゅうのしん) 日置藩の次席家老の嫡子。 若くして剣の腕が立ち、周囲から前途有望と目されていたが、橘軍太夫との勢力争いに巻き込まれ負傷。 さらに家老である父・草加勘兵衛が失脚、一門すべて殲滅され失意に堕ちる。 父の遺言に従い自らは脱藩し、浪人の身となり復讐の機を狙うが失敗し、一角とともに非人に身をやつす。 ここで苔丸に出会い、さまざまな矛盾に目覚め成長していく。 才色兼備で誠実な青年剣士。 日置藩武士 [ ] 笹 一角(ささ いっかく) 日置藩剣法指南役で竜之進の師匠。 道場破りに来た水無月右近に勝負で負け、剣客としての誇りを失い脱藩。 露木鉄山(剣豪)のもとで修行を積み、右近への復讐を誓っていたが、橘軍太夫の策により弟の笹兵庫が切腹したことを知り、一門の復讐を果たすべく武士の本能に目覚めた。 橘 軍太夫(たちばな ぐんだゆう) 日置藩の目付役。 野心家で藩の実権を握ろうと企んでおり、ことあるごとに領主に甘言を弄する。 都合の悪い相手に対して徹底的に排他的な行動を取る、謀略に長けた男。 竜之進や一角たちの仇役。 三角を嫌っているが、上下関係を理解しているので表面上は従っているフリをしている。 日置藩後、元藩士らに切腹するよう要求され自害。 橘 一馬(たちばな かずま) 橘軍太夫の嫡子。 若いころ、竜之進に試合で負け、さらにカムイに右足を切断されて以来、堕落の一途をたどっていたが、叔父の橘玄蕃の荒療治で魔剣・無人流の使い手となる。 日置藩の改易と軍太夫の死をきっかけに浪人の身となった。 三角 重太夫(みすみ じゅうだゆう) 日置藩城代家老。 橘軍太夫と地位権力を争う。 徹底した現実主義者で、利益のある方に転ぶ。 橘軍太夫よりは長期的な視野を持ち、農民に対しては多少の理解があり、正助を高く評価しているが、上下関係はしっかりと示すべきとの価値観を持つ。 日置弾正の死後、隣領望月藩から養子に入って新藩主になった若君に藩の秘密を明かし、無礼討ちにあう。 橘 玄蕃(たちばな げんば) 橘軍太夫の実弟。 無人流(むにりゅう)と呼ばれる魔剣の使い手で、初見の時に竜之進に決闘を申し出るも、カムイの邪魔が入り返り討ちにされた。 軍太夫の懐刀として悪行を繰り返す残忍な男。 日置藩の秘密を探るため手風に挑むが、返り討ちにあい顔を焼かれる。 後に一馬とともに竜之進に挑むが敗れて両足を切断される。 日置 弾正(ひおき だんじょう) 日置藩領主。 暗愚で軍太夫の甘言に乗り、藩の重鎮である草加一門を殲滅させるなど失政を重ねているが、徳川家康の出生の秘密を握っているので幕府も手が出せない。 草加 十兵衛(くさか じゅうべえ) 草加勘兵衛の従兄。 草加一門の討伐隊に加わるが、実は勘兵衛の頼みで放浪中の竜之進を援助するため裏切ったふりをしていた。 後、事情を知らぬ竜之進に討たれる。 宝 監物(たから けんもつ) 日置藩江戸家老。 三角重太夫と共に藩の秘密を握る。 日置藩改易の際に切腹の沙汰が下るが、その前に陰腹を切った。 浪人 [ ] 水無月 右近(みなづき うこん) 浪人剣士。 道場破りにおいて一角を倒すほどの剣客。 非人頭の横目に挑まれ、左足を切断された。 己の誇りをかけ強い相手を探しながら旅を続けていたが、武士の生きざまに疑問を覚え刀を捨てる。 アテナに想いを寄せている。 露木 鉄山(つゆき てつざん) 剣豪。 未熟だったカムイに剣術を教えた最初の師匠。 大きな秘密を知る忍者を斬ったことで、自身もまた大きな秘密を知る事件に関わった人物として忍者衆に斬られ最期を遂げた。 アテナ 露木鉄山の娘で、薙刀の名手。 笹一角に想いを寄せており、仇討ちに燃える一角の後を追うようになる。 父の死後は青木鉄人(剣豪)のもとに身を寄せていたが、そのうち水無月右近や松林剣風と行動をともにする。 一角の死後は仏門に入り尼となった。 松林 剣風(まつばやし けんぷう) の実弟で、天下一の使い。 無益な闘いを避ける賢明な男。 竜之進が代官になっている時に刀を捨て百姓暮らしになる。 堂面 六左(どうめん ろくさ) 元士。 不見流を遣う剣士。 浪人して後、困窮していたところを日置藩江戸家老の宝監物に腕を買われ日置藩士となる。 笹一角と対峙し、一角の右手の親指を切り落とす。 青木 鉄人(あおき てつじん) アテナを養子にした老道場主で剣豪として名高い。 道場にはアテナや竜之進が稽古をした他、カムイも下働きをしていたことがある。 カムイはこの時にアテナの薙刀をヒントに鍛錬し、見たものは必ず死ぬと噂されるほどの「変移抜刀霞切り」という技を編み出す。 百姓 [ ] 権(ごん) 花巻村の農民の息子で、大柄で力の強い男。 正助と共に活動し、正助の試みを支えてきた人物。 正助と同じように人々の生活向上を考えるようになるが、段々と正助に頼り過ぎる人々を見て、もし正助が死んだらどうするのかという危機感から、自分自身も強くなろうと成長して行く。 小六(ころく) 花巻村の農民。 娘のオミネを日置藩領主の側女にするための策略にはまり潰れ百姓となった挙句、凌辱されたオミネは自殺。 侮辱されたと激昂する領主は、オミネの死体を切り刻み野ざらしにしてしまう。 それを見た小六は発狂してしまい、以後、正助が養うようになる。 オミネ 小六の娘。 竜之進の恋人であり、正助が密かに恋焦がれる女性であったが、日置藩領主に凌辱されたことを苦に入水自殺してしまう。 その後非人達の手により火葬され、骨だけになった姿を見た竜之進は絶望のあまり号泣した。 正助は頭蓋骨をほら穴に安置し、後に身を隠すため非人になりすました竜之進は正助に案内され、日置藩こそ真の敵であると認識し直した。 花巻村 庄屋(はなまきむら しょうや) 花巻村の庄屋。 当初は正助を忌み嫌っていたが、利用する価値があると分かると途端に支えるようになった。 農民と武士という関係の中では、武士寄りの発言をする。 役人の言いなりで農民からの支持はそれほど無い。 竹間沢村 庄屋(ちくまざわむら しょうや) 竹間沢村の庄屋。 正助に読み書きを教える。 正助の良き理解者であり支持者だが、武士からの圧力に抵抗するほどの力は持たない。 ダンズリ 正助の父で、花巻村の下人。 村一番足の速い男。 当初は非人を差別していたが、正助の影響で改心してゆく。 息子を信頼し、弾圧に屈しない強い意志を持っており、百姓に禁じられている読み書きを、正助が花巻村庄屋に見つかった時に自分で指を数本切り落としている。 シブタレ 花巻村の農民。 密告により父を失った過去を持っている。 農民の行動を監視し何かあると直ちに代官等に密告する嫌われ者だったが、正助の影響で次第に農民の立場に目覚めていく。 苔丸(こけまる) 玉手村の下人。 蚕を飼って生計を立てていたが、一揆を起こし失敗したことから人相を変えるため顔に傷を付けて非人に身をやつし「スダレ」とあだ名されるようになる。 正助の最大の理解者の1人であり支持者。 五郎(ごろう) 竹間沢村の農民で末っ子でガキ大将。 権達とは少年時代からのケンカ友達。 権と違い末っ子なので一人娘のアケミの婿に強引になった。 アケミ 花巻村の百姓代、武助の一人娘。 百姓の中では多少読み書きが出来、正助を色仕掛けで落とそうとする気の強い女。 権とは相思相愛だったがそれぞれ長男と一人娘のため家の存続のために結ばれず、五郎を婿に迎えることとなった。 最初は五郎とは仲が悪かったが、のちに仲の良い夫婦になる。 非人 [ ] 横目(よこめ) 日置藩一帯の部落を仕切っている非人頭。 橘軍太夫の手先となり、非人でありながら並みの高待遇を受けている。 カムイに一目置いており、自分の配下にしたがっているが結局は拒まれ、あげくカムイと対峙した際に重傷を負った。 鎖鎌の使い手で武術者。 サエサ 横目の娘。 カムイの強さに惚れており、その情熱のあまり自らも忍者となった。 諜報活動を行いながら神出鬼没のカムイを追い続けている。 父・横目からカムイを諦めるよう諭されるが、まったく聞く耳を持たない。 キギス 横目の下人。 自らの立場上、サエサを「おじょうさん」と呼んでいるが、実のところ横目の嫡子であり、サエサの兄であった。 そうとは知らないサエサに片目を抉り取られてしまう。 カムイの姉ナナを崇拝しており、武士の手先となり非人や百姓たちの仲を裂こうとする横目に不信感を抱くようになる。 タブテ 夙谷部落の非人で、カムイを崇拝していた。 後に仁太夫(にだゆう)と名乗り、江戸こじきの大頭になってからは日置藩の非人に大きな力を行使するようになる。 弥助(やすけ) カムイの父で、夙谷部落の小頭。 罪人の処刑や牛馬の死体処理など、人が嫌う仕事を請け負う部落民の掟に従いながら生きている。 妻を亡くし、男手一つで子供を養っていたが、息子のカムイ(弟)が処刑されるなど、過酷な日々を過ごす。 ナナ カムイの姉であり、正助の妻。 正助との愛をつらぬき結ばれるが、厳しい身分差別のため正式な妻としては認められていない。 正助を信じ、厳しい現実に耐え忍びながら生きている。 カサグレ 無人流の達人。 橘一馬を川底から拾い、無人流をスパルタ教育で覚えさせた。 であり非人でもあったため、自分から世に出るのではなく自身の分身として成長させた人物がどのようになるかを生き甲斐にしていた。 玄蕃の師匠でもあるが拳銃で撃たれてしまう。 竜之進にも密かに無人流を教えていた。 忍者 [ ] 赤目(あかめ) 伊賀忍者でありカムイの師匠。 作者に『怪物的な忍び』と語らせるほどの凄腕だったが、非情になりきれぬ己を悟って「」となり、忍びの掟によりカムイをはじめとする忍者衆から追われる羽目に。 しかし天才忍者と評されるカムイでさえ赤目を倒すことはできなかった。 普段は夢屋の番頭の市(いち)と名乗って生活している。 搦の手風(からみのてぶり) 幕府隠密団の小頭。 カムイを窮地に追い込むほどの技を持つ凄腕忍者。 日置藩の謎を追いつつ、カムイ抹殺の命を受け暗躍していたが、のちに嫌々ながらカムイの協力者にならざるを得ない立場に追い込まれてしまう。 風のトエラ(しなどのトエラ) カムイの兄弟子で、十種の忍術を会得する伊賀忍者。 「山陰(やまかげ)」という技を得意とする。 忍の掟に翻弄される下忍という自らの立場に疑問を持ち、抜け忍となってしまう。 カムイと互角に渡り合えるほどの凄腕。 百舌の爺(もずのじい) 表向き日置藩鷹匠で忍びの里への連絡員でもある。 カムイはここから忍びの世界に入り、犬番として日置藩の鷹狩りに参加することもある。 商人 [ ] 夢屋 七兵衛(ゆめや しちべえ) 資本力で階級社会の楔さえも越えようとするスケールの大きな商人。 流刑に処されていたとき赤目と出会い、己の頭脳と彼の行動力を柱にして資本の拡大を図っていく。 赤目と2人だけのときは、「七さん市さん」と呼び合っている。 蔵屋(くらや) 日置藩の御用商人。 莫大な利益を上げるが、途中から経営に失敗し、大きな赤字を出した。 そして資本が無くなったため、農民の生産物を安値で買い叩こうとしたが、暴動が起きた。 運上金などの献金も日置藩に出来なくなったため、徐々に力を弱める。 後に夢屋と市場を争って負ける。 最後は日置藩の政策失敗の責任を全てなすりつけられ、打ち首にされた。 大蔵屋(おおくらや) 夢屋の代理商人。 夢屋の名前を出さずして日置藩が生み出す利益を吸い上げようとした。 仮に失敗しても、大蔵屋に全ての責任を押し付け、夢屋は無傷であろうとした。 イタミ屋(イタミや) 日置藩改易後に開業し百姓が開いた市を手中に収めたり代官などに媚を売ったりするあくどい商人。 実は夢屋の隠し番頭。 その他の人物 [ ] 山丈(やまじょう) 山深くに住む野人化した大男。 まだ幼きカムイを抱きかかえ「カムイ! 」と歓喜の雄叫びを上げた。 クシロ 海を愛する漁民の青年。 漁師の伝統を廃し企業化しようとする夢屋に敵意を抱いており、「金は人を腐らせる」として武士や商人を嫌っている。 その頑固すぎる強い意志は、時に愛する人を失うことにもなった。 キクという娘と相思相愛の仲。 キク 流人の娘で。 夢屋の養女。 漁師が起こした一揆をかばい自ら捕縛されるが、後にクシロに救出される。 他のキリスト教徒を救うため苦渋の決断のすえを行った。 の再来とさえ言われた心美しき女性。 その他 [ ]• がオマージュとして自身の作品の中で、『カムイ伝』を想起させるキャラクターや台詞をパロディ化してしばしば引用している。 「」に登場するというキャラクターの必殺技「イズナ・ドロップ」は、カムイの「飯綱落とし」をトレースしており、技の形態も全く同じものである。 その後も多くので「空中で相手に抱きついたまま地面に落下して相手の頭を地面に叩きつける技」の名前として使用されている。 原作の劇場用アニメ「」にカムイがゲスト出演している。 脚注 [ ]• 「」2005年10月号()196-199頁• 「」1965年9月6日号(日本読書新聞社) 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]• この項目は、に関連した です。

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