中国 新型 コロナ。 中国は早くから新型コロナウイルスを知っていたのか?2019年9月26日の「湖北日報」を読み解く(遠藤誉)

新型コロナ「中国生物兵器説」がこれほど拡散された理由。新興宗教「法輪功」など反中勢力が暗躍

中国 新型 コロナ

トランプ大統領の新型コロナでの中国批判。 いつもの自国ファースト? 米国のトランプ大統領が新型コロナをめぐって中国や「中国寄り」だとしてWHOへの批判を強めている。 トランプ米大統領は18日、オンライン会議形式で年次総会を開催している世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長に宛てた書簡をツイッターで公開した。 新型コロナウイルスの感染拡大の対応で「WHOは驚くほど中国からの独立性を欠いている」と、中国寄りの姿勢を批判。 30日以内に実質的な改善が見られなければ、停止中のWHOへの資金拠出を恒久的にやめ、脱退も検討するとした。 トランプ氏は「現在のWHOの状況は米国の利益にならないのは明らかだ」としている。 トランプ米政権は4月、WHOの姿勢が「極めて中国寄りだ」と批判し、WHOの対応を検証する間、資金拠出を停止すると発表していた。 情報開示に消極的な中国の言い分をWHOがうのみにしているとの主張で、中国に圧力をかけつつWHO改革に向けて強い影響力を発揮するのが狙い。 出典: トランプ大統領の書簡ではWHOおよび中国への批判はかなり具体的なものだ。 4ページにわたる書簡では、新型コロナウイルスが中国の武漢で広がり始めたとする、去年12月ごろからのWHOの対応を時系列で記し、感染に関する信頼に足る情報を無視し、ヒトからヒトへの感染を示す情報を世界に共有しなかったうえ、ウイルスに関して不正確もしくは誤解を招く説明を繰り返したと主張しました。 さらに、テドロス事務局長に対し、中国の国内での移動制限措置を称賛する一方、アメリカの中国からの入国禁止措置には反対するなど政治的な対応をとったと主張し、「あなたとあなたの組織のたび重なる失策が世界に極めて甚大な犠牲をもたらした」と非難しました。 出典: このニュースをどう見ればいいのか。 解説が欲しいが、ほとんどのニュース番組や新聞記事は背景や解説を加えないままニュースだけを報道した。 いつもの「自国ファースト」ばかり訴えているトランプ大統領がまたもや国際社会で物議を醸したという印象だけが残ってしまう。 現在の新聞記事や「ニュース番組」の多くが、情報を受ける側のニーズに応えられずに不十分な点があるのではないかと筆者は考えている。 このニュースについて注目して見たところ、テレビ番組で解説していたのは「ニュース番組」ではなく「ワイドショー」だった。 「トランプ側の事情」を重視したテレ朝『ワイド!スクランブル』 VTRでトランプ大統領の言葉などを伝えた後で、コメンテーターの柳澤秀夫氏が解説した。 (ジャーナリスト柳澤秀夫氏) 「国内で新型コロナウイルスに対する対応がまずかったと批判を浴びてますよね。 その 批判をかわしたいというのがトランプ大統領の思惑だと思う。 面白いのは直接、中国を批判するのではなく、WHOという機関を批判しているところです。 30日以内にどうするかというのを具体的にはしていませんから、この後いろいろ含みをもたせた対応をとってくるのだと思います」 国際記者が長かった人らしい立場から「トランプ氏の思惑」に重点を置いて解説した。 「中国側の責任」を重視して、かなり長時間報道したのがTBS『ひるおび!』だった。 「中国側の責任」を重視したTBS『ひるおび!』 TBS『ひるおび!』も5月20日(水)、トランプ米大統領がWHOのテドロス事務局長に宛てた書簡をツイッターで公開したことについて、総計でおよそ50分の時間を使って背景を掘り下げて伝えた。 (恵俊彰キャスター) 「八代さん、このコロナの話題になった当初から、考えてみれば、 中国がいろいろなものを隠ぺいしていたんじゃないかという話にはなっていましたよね?」 (八代英輝弁護士) 「なっていましたね。 当初のウイルスというものを公開しなかった、とか、 他の国に提供しなかったとか、それから、いわゆる第1の感染者ですよね。 『ペイシェント・ゼロ』と呼ばれる人を明らかにしなかったり、もっともっと前から、実は 2019年の年末から、ヒト-ヒト感染という状況をつかんでいながら、他の国への情報提供を断ったと。 WHOのルールに違反しているんじゃないかということはかつてから言われてました」 『ひるおび!』はトランプ大統領の今回の書簡での指摘にはもっともな点があるとして、読売新聞の記事を元にこの書簡の要旨をパネルで展開した。 (台湾政府で新型コロナウイルス対策本部のトップの陳時中・衛生福利部長によると) WHOに対し、12月31日に武漢で原因不明の肺炎にかかった人がいることについてWHO側に電子メールで通報。 「複数の患者が隔離治療されている」としてヒトからヒトへの感染の可能性を示唆し警告したものの無視されたという。 こうなってくると、中国やWHOが新型コロナウイルスに関連して、何かを隠ぺいしていたのかという問題になってくる。 こうした点での調査報道ではNHKが5月17日(日)に放送した BS1スペシャル『デジタルハンター~謎のネット調査集団を追う~』というドキュメンタリー番組の中で非常に興味深い場面があった。 このドキュメンタリーは、インターネット上にある画像や動画、情報などをテクノロジーを使って分析する 「オープンソース・インベスティゲーション」と呼ばれる新しい調査報道の手法に焦点を当てたものだ。 アメリカやイギリス、オーストラリアなどの国際的なメディア組織やシンクタンクなどが天才的な専門家をスカウトして、世界中の重大事件の真相を解き明かしている事例を紹介した。 その中では米紙「ニューヨーク・タイムズ」が行った武漢市での新型コロナウイルス感染に関する調査報道のシーンがあった。 NHK-BS1『デジタルハンター』中国の感染者らの投稿の削除と復旧を追跡した米紙を報道 米紙「ニューヨーク・タイムズ」のビジュアル・インベスティゲーションチームのクリストフ・ケトルさんは今年2月に中国の武漢市について、インターネットで調査していたときに興味深い動きに気がついたという。 市民の窮状を訴える動画や画像が中国国内のSNSで拡散されていた。 「もう嫌だ!倒れている人々を運び去ってくれ!」という医療従事者や医療機関で泣き叫ぶ人々。 「助けて!誰か来てください!」と叫ぶ患者等の 動画などが一時期拡散されていたのが、次々に削除されていた。 (クリストフ・ケトルさん・「ニューヨーク・タイムズ」ビジュアル・インベスティゲーションチーム) 「人々の声を聞いて届けることが重要です。 政府は一部の情報しか出していない。 新しい病院を建設するとか、 『すべてアンダー・コントロールだ』とか良い話を伝えますが、実際は混乱しているはずです」 この『デジタルハンター』というドキュメンタリーでは、「オープンソース・インベスティゲーション」について欧米ではメディア組織同士などの間で国際的な連携が進み、少しずつ成果を見せているという現状を伝えていた。 日本のメディアがこうした分野の取材をやっているという話は筆者はまだ聞いたことがないが、日本でも今後は必要な分野だと思う。 たとえ当局がいくら隠そうとしても、そのうちにこうした手法で明らかになっていく情報は数多いに違いない。 隠された事実を掘り起こす最先端の調査報道の「質」を高めていく。 さらに「正確な事実」を元に「議論」をして「世論形成」を進めていく役割。 ネット時代のメディアにとって求められる役割だと思う。 特に後者は現状では民放テレビのワイドショーが果たす役割が大きい。 TBS『ひるおび!』はアメリカだけでなく、イギリスやドイツ、オーストラリアなども中国政府に対しては批判的な姿勢だと紹介しつつ、コメンテーターとして中国問題の専門家・興梠一朗(こうろぎ・いちろう)神田外語大学教授に話を聞いていた。 興梠教授のコメントは日頃から中国情勢をウォッチしている人ならではの興味深い情報にあふれていた。 (興梠一朗・神田外語大学教授) 「地方政府は武漢市の市長が証言していまして、『中央政府に伝えた』と。 『だけど中央が抑えた』と生のインタビューで言ってしまっているんですね。 中国外交部の報道官がツイッターで、 (去年)10月に武漢市で軍人の運動会があったんですが、そのときに『アメリカ人が(ウイルスを)持ってきた』というような、それを思わせることを言っていた。 だったら(去年)10月に(新型コロナウイルスに)感染していたことを証明したようなことになりますよね。 これは掘れば掘るほど、(新型コロナウイルスの感染を中国政府が知ったのが)いつなのかというの(問題)が出てくるんです」 新型コロナをめぐっては、米中という大国がいがみあっている場合ではない、もっとお互いに協調してこの世界的危機に立ち向かうべきではないかという意見が根強くある。 それも世界的な状況を見れば正論であると思う。 だが、残念なことにリアルな国際政治の世界では理想は脇へ追いやられて互いの国益をめぐる綱引きがどうしても影を落としてしまう。 一方、大国側の言い分であっても、実態を反映しているのではあれば細かく事実を検証していくのも報道機関の役割だし、それを伝えていくことには意味があると思う。 この日の『ひるおび!』も時間を割いて伝えていたが、米中のつばぜり合いは新型コロナのワクチン開発をめぐる大国同士の「権益争い」という様相を見せている。 こうした視点からの報道もこれからも必要になってくるだろう。 「正義」はひとつではないというメディアの姿勢が大事では? 今、 テレビのワイドショーが多く展開する「報道」は、新聞社の記事などを素材にしてわかりやすいパネルにし、そこに詳しい背景情報を知る識者らに解説コメントを求めるスタイルが多い。 ニュースになる「事実」を集める一次的な取材や報道は、「ニュース番組」や「新聞記事」などに委ねて、自分たちは 「整理」して「解説」していく部分に専念する姿勢にも見える。 新型コロナに関しては多様な情報があふれる中で、ワイドショーの視聴率が比較的高めで安定していることは、こうした番組制作の姿勢が視聴者からは受け入れられているせいだと感じる。 一つの「正しさ」だけを求めるのでなく、いろいろな情報を整理して「多角的に提示」して、場合によってはその都度、修正(アップデート)していく柔軟な報道スタイルだが、出演者が多角的に議論しつつ進めるこのやり方が、多様な情報が大量に流れるインターネット時代には好ましい報道といえるだろう。 テレビ報道も、欧米のように国家のウソを明るみに出すなど「調査報道」の質を高めることが求められる一方で、正確な事実をベースにした「議論の場」をつくる役割へのニーズも大きい。 新型コロナをめぐる中国の現状についての最近のワイドショーやドキュメンタリー番組は、そうしたテレビの役割について改めて考えさせるものだった。

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「新型コロナは中国の人工ウイルス」と信じる人が後を絶たない理由

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中国・北京で新型コロナウイルスの消毒作業を行うスタッフ。 「中国の生物兵器」「自作自演」的な陰謀論はなかなか消えない。 中国生物兵器説の根拠となっている情報は主にふたつある。 ひとつは、中国・武漢にきわめて高度な病原体研究施設があるということ。 それは事実だ。 もうひとつは、新型コロナウイルスが人工ウイルスだとする、インドの研究チームによる論文。 しかし、論文は「誤解されて伝わった」ことを理由に取り下げられ、その内容については世界の専門家たちにより否定されたことを、前回記事で書いた。 人工ウイルスでないのなら、誰かがつくった生物兵器でないことにもなる。 あらためて中国生物兵器説も否定されたわけだ。 関連記事 次に、冒頭でも紹介したように、短時間公開されたインドの研究チームの論文が人工ウイルス説の根拠として使われた。 具体的には、デリー大学とインド理工学院の研究者たち(筆頭執筆者はインド理工学院のプラシャント・プラダン研究員)が、査読前論文サイト「bioRxiv(バイオアーカイブ)」に、ウイルスの遺伝子配列を人工的と誤認した査読前の論文を投稿し、わずか2日後に撤回した。 この論文を「隠された真実だ」として、アメリカの陰謀論サイトが大々的に拡散。 とくにオルタナ右翼言説で知られる「ゼロ・ヘッジ」と、極右系ラジオパーソナリティが運営する「インフォウォーズ」が大きく貢献した。 ここまでが前回記事で書いたことだ。 「中国人だけに作用する生物兵器」 米疾病対策センター(CDC)による新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像。 例えば、2014年にアメリカに亡命して反中国活動を続けている富豪の郭文貴氏は、自身のメディア「郭媒体(GUO MEDIA)」のプロパガンダサイトを通じて「新型コロナウイルスが人工ウイルスであることを中国が認めた」と発表した(2月3日)。 郭文貴氏がこのとき引用したのは、中国の親人民解放軍系民間軍事サイト「西陸網」だった。 西陸網は1月26日に「 新型ウイルスはアメリカがつくった中国人だけに作用する生物兵器だ」という陰謀論系の記事を掲載していたのだが、郭文貴氏はそれを逆手にとり、人工ウイルスであることを中国が認めたと曲解し、「中国の生物兵器である証拠だ」と論理を飛躍させて拡散した。 ちなみにこのとき、「西陸網は人民解放軍の公式サイトなので、(生物兵器であることを)軍が公式に認めたことになる」とのフェイク情報も同時に拡散されている。 「中国人だけに作用する」などと記していることだけでもフェイクと分かりそうなものだが、こんな子どもだましの言説も、ネット上ではそれなりに広く流布した。 法輪功系メディアも「人工ウイルス」と主張 ニューヨーク市内を行進する疑似宗教団体「法輪功」の支持者たち。 中国政府の弾圧を受けたとして、長いこと反米運動を展開している。 2月9日、法輪功がアメリカで運営する中国語衛星テレビ「新唐人」が、「新型コロナウイルスは人工ウイルスの可能性が高いことを証明した」という中国人科学者のインタビューを放送した。 反中国の法輪功お抱えメディアの情報というだけで一歩引いてみるべきところだが、こちらも日本国内を含む反中勢力に拡散した。 この法輪功のテレビ番組に登場したのは、バイオテクノロジー企業サンリージェン(SunRegen Healthcare AG、スイス)の最高科学責任者(CSO)兼共同創業者、董宇紅氏という感染症研究者。 中国出身で、北京大学附属第一医院に勤務した経歴があるという。 董宇紅氏は、前述したインドの研究チームによる誤った査読前論文と、中国科学院パスツール研究所の崔傑研究員の論文を参考にしてインタビューに答えているが、メインは前者だ。 健康科学系メディアの取材に応じる董宇紅氏(動画の内容は新型コロナとは無関係です)。 出典:EBD Group YouTube Channel また、彼女は同じインタビューのなかで、アメリカの民間研究機関(The Institute for Pure and Applied Knowledge)の創設者であるジェームズ・リヨンズウェイラー氏がインターネット番組(1月30日)で主張した「遺伝子操作の痕跡が見つかった」という説も引用しているが、この主張もすでに専門家によって誤りであることが証明されている。 法輪功で董宇紅氏が行った主張は、世界のウイルス研究者たちにはまったく相手にされなかったが、それでも世界の反中国勢力の間では、その後もしばらく引用され続けた。 なお、董宇紅氏について過去の言動を検索してみたところ、法輪功のメディア「大紀元」のインタビュー記事(2016年6月10日)に登場しており、 「法輪功の気功は末期がん患者に延命効果がある」と発言している。 つまりはそういう人物だ。 ちなみに「大紀元」はその後、米イリノイ大学のフランシス・ボイル教授が「中国の生物兵器だ」と語ったことも生物兵器説の根拠としている。 これは「地政学と帝国」というサイトに投稿された(1月30日)を指す。 ボイル教授は1989年の米生物兵器テロ対策法の起草者という触れ込みだったが、専門は国際法であり、ウイルス学の知識はない。 仏紙ル・モンド(3月7日)でも、専門家がその主張を完全否定している。 米軍の顧問を務めた専門家も「人工ウイルス」と FOXニュースに対し「武漢のウイルス研究施設から流出したものである可能性がある。 証拠はないが」と発言したトム・コットン上院議員(右下)。 Screenshot of Fox Business さらに、陰謀論系の人工ウイルス説はインターネット上にとどまらず、アメリカ政界にまで波及した。 お騒がせ議員として知られる共和党のトム・コットン上院議員がFOXニュース(2月16日)に出演し、「」と発言したのだ。 議員発言の直後より、ウイルス研究者たちから異論が噴出した。 例えば、ラトガース・ニュージャージー州立大学のリチャード・エブライト教授は「人工的につくられたことを示す痕跡は皆無であり、意図的に開発された生物兵器である可能性は、強く排除できる」と断言した(ワシントン・ポスト、2月18日)。 研究者らの批判に対し、コットン議員は「自分は生物兵器だとは言っていない」と反論。 ただ「研究施設から漏れた可能性は否定できない」と主張している。 人工ウイルス説、中国生物兵器説という陰謀論は、その後も語られ続けている。 日本では3月8日頃から、いくつかのメディアに、 アメリカの生物兵器専門家の杜祖健(アンソニー・トゥー)氏が登場し、中国の生物兵器説の可能性に言及した。 杜祖健(アンソニー・トゥー)氏をゲストに迎えたインターネット番組。 出典:林原チャンネル 杜祖健氏は生物毒の専門家で、過去には米軍の顧問を務めたこともある。 とくにアメリカの生物兵器対策の実情に詳しい専門家で、筆者の『生物兵器テロ』(ジャーナリスト村上和巳氏との共著、2002年)でも同氏にインタビューを行っている。 杜祖健氏は、すでに世界の専門家たちに否定されている人為的な遺伝子操作という説が「存在する」と言及しているが、それを紹介する日本のメディアでは、彼が人工ウイルス説を主張しているかのように伝えられた。 それ以外の陰謀論のほとんどは筆者の見るかぎり、「武漢に病原体研究施設があった」という事実から、何の具体的情報もないまま「そこから漏れた可能性がある」と想像し、さらに「そこで開発していた人工ウイルスではないか」と話を膨らませたものばかりで、いずれも科学的根拠がない。 複数の情報源を比較して、信頼度の判断を 新型コロナウイルスが人工ウイルスという説は、専門家によってすべて否定されている(文末文献参照)。 否定された情報を丹念に検証してみると、最初からバイアスがかかっていたり、意図的な印象操作だったり、科学レベル的に不足していたりすることが見えてくる。 今回の新型コロナウイルスについては、未知の病原体だったことや、パンデミック(世界的大流行)によりパニック状態に陥ったために、大手メディアも含めて不正確な情報がいくつも飛び交っている。 単一の情報源を鵜呑みにすることなく、さまざまな手法で情報をクロスチェックし、信頼度の低い情報をノイズとして保留または削除していく作業が、今後も重要になってくる。

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「新型コロナは中国の人工ウイルス」と信じる人が後を絶たない理由

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テレ朝では昨年秋の湖北日報に新型コロナウイルスという言葉が出ているので中国は早くからその存在を知っていたと解説。 全く同時期にアメリカの大学も同ウイルスのシミュレーションをしていたのを知らないのだろう。 報道のタイトルはとある。 つまり10月18日には武漢で軍事運動会が開催されるので、その運動会に参加するため世界各国から多くの軍人が武漢に来たり競技に必要な機材が「海外から武漢に運び込まれる」という意味での 「入境」すなわち 「中国という国家の国境に入る=入国する」という大前提の報道であることに注目しなければならない。 問題はこの湖北新聞報道の中で、下に示すように万一にも「一例の新型のコロナウイルス」に感染した人がいた場合の処置法に関して訓練を行ったという表現がある点だ。 テレ朝の番組では某中国問題研究者が出演して「ここに書いてある【新型のコロナウイルス】とは、まさに今流行している新型コロナウイルスのことです!」と断言し「だから中国政府は新型コロナウイルスを去年の9月から知っていた」と主張したのだ。 キャスターが「だから削除したのですね」とそっと聞くと「いや、削除されていません!誰でも見ることができます!」という感じのことを仰って、語気を荒げた。 「なんでしょうねぇ・・・」と流れたが、もう一つ問題があった。 キャスターが「(軍事運動会を開催するための訓練なので)海外からウイルスが入り込むのを防ぐためなのでしょうか」という趣旨の質問をしたところ、件(くだん)の中国問題研究者は「誰が海外から入るということを言いましたか?番組の打ち合わせでも、私はそんなことを言っていませんよね!」という趣旨のことを仰って(録音しているわけではないので言葉の細部は不正確)、湖北日報情報のサイトを印刷したものを掲げて「ここには海外から入ってくるウイルスとは書いてないんです!」と断定した。 いやいや、この報道自身、タイトルからして「入境(入国)のための」危機管理訓練なのだ。 それを否定するのは、いくらなんでも無理があろう。 ここまで来ると、さすがに日本の国民に誤った情報が刷り込まれていくと危惧し、真相を書かねばならないと思うに至ったわけだ。 その根源をさかのぼれば、紀元前8000年には存在していたと考えられており、一部のモデルは5500万年以上前にさかのぼってコウモリとの長期的な共進化を遂げてきたことが学術的に示唆されているくらいだ。 近いところでは、国立感染症研究所が発行している学術誌の2005年第6号にあるをご覧になると、ここに明確に「 新型のコロナウイルス」 という表現がある。 下にその証拠を示す。 すなわち、SARSでさえ、「新型のコロナウイルス」だったことが、これにより理解できるだろう。 「新型のコロナウイルス」と書いてあったら、全てが今流行している新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の病原体である2019新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」だと思い込むのは科学的でなく、論理的でない。 はっきり申し上げて、テレ朝の番組でお話しになった中国問題研究者が、9月26日の湖北日報に書いてある「新型のコロナ状のウイルス」を「まちがいなく今般の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」だ」(それ以外の何ものでもない)と断言したのは、大きな 「まちがい」なのである。 それは2019年10月18日にアメリカのジョンズ・ホプキンス大学が「新型コロナウイルス」パンデミックに関するシミュレーションを行っていることである。 日時に関してはに書いてある。 そこにはジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターは、世界経済フォーラム、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と提携し、2019年10月18日にニューヨークでハイレベルなパンデミック演習「イベント201」を開催したと書いてある。 このサイトでは「近年、世界では疫病に関するイベントが増加して、年間で約200件にも及ぶ」と書いてあるのが気になる。 湖北日報に書いてある「訓練」も含め、世界各地で年間200件も同様のイベントが行われているということには驚きを禁じ得ない。 逆に言えば、湖北日報に書いてあるイベントなど、世界200件の中の一つに過ぎないことを認識しなければならない。 たしかに湖北だけでも2019年に2回あり、一回目は2019年4月25日で、ここでは。 ここにあるように、イベント201は、コウモリから豚へ、豚から人へと感染する「新型人獣共通感染コロナウイルス」の発生をシミュレートし、最終的には人から人へと効率的に感染が広がり、深刻なパンデミックを引き起こすことになると書いてある。 本稿で重要なのは、アメリカでも同時に「新型コロナウイルス」の思考実験を行っていたということである。 このウイルス名には「人獣共通感染」という言葉まであり、実にリアルだ。 怖いのは、シミュレーションに関して以下のように書いてあることだ。 そして、感染やその死者が累積していくにつれて、経済的あるいは社会的な影響はますます深刻になっていく。 シミュレーションのシナリオは18ヶ月後に6500万人が死亡した時点で終了する。 (引用ここまで) まるで、現在起こっているパンデミックを表しているようではないか。 「18ヵ月後」ということは「1年半」かかることになる。 架空のシミュレーションとは言え、そうなったらごめんだ。 さらにゾッとするのは報告の最後に以下のように書いてあることである。 そこから先は、小児の風土病のようになるかもしれない。 (引用ここまで。 ) アメリカでは最近、子供の感染者にKAWASAKI病のような症状が現れているという。 EVENT201のシミュレーションが、まるで予言者のようで身震いがする。 以上、ついつい学術的関心に引きずられてしまったが、2019年9月26日付けの「湖北日報」に「新型のコロナウイルス」という言葉があったことを以て、「中国が早くから現在の新型コロナウイルスの存在を知っていた」などという結論を導き出し、論を張ったりすると、米中攻防の中で、完全なアメリカの敗北を招くことにつながるので、もう少し見識を広め、科学的に謙虚な姿勢で真相を分析していかなければならないことが見えてくる。 自戒を込めて、警鐘を鳴らしたい。 追記:なお、ジョンズ・ホプキンス大学を中心としたEVENT 201のシミュレーションは、あくまでも「架空」のものであり、現実とは違う。 シミュレーションではコウモリを発生源とした「新型のコロナウイルス」がブラジルの養豚場で豚に感染し、それがヒトに感染して「新型コロナウイルス肺炎」として発症して、南米のいくつかの巨大都市の低所得者層の密集した地域で、ヒトからヒトへと広がり始め、ポルトガルやアメリカさらには中国へと空路などで輸出され、その後多くの国に拡大してパンデミックを起こすという「架空」の想定で行われている。 その意味で条件が異なるので現在流行中の新型コロナウイルス肺炎がシミュレーションと同じになるというわけではない。 言いたいのは「コロナウイルス」はコウモリなどに宿って太古の昔からあり、「新型」は人類史上で何度も現れているので、「新型のコロナウイルス」という文字を見ただけで短絡的に今流しているCOVID-19(肺炎)のウイルス「SARS-CoV-2」(2019新型コロナウイルス)を指していると勘違いしてはならないということである。 もしそうであるならEVENT201はここまで詳細なシミュレーションを行っているので、「アメリカは早くからCOVID-19の新型コロナウイルスを知っていた。 だからウイルスはアメリカから漏れた」という論理構築が可能になってしまう。 因みにCNNは5月18日、と報道している。 武漢ウイルス研究所から漏れたという主張を、当のアメリカが「アメリカに不利になる」と判断してトーンダウンしていることは5月7日のコラムで既に書いた通りだ。 ウイルス発生源を突き止めるのは至難の業で、万一にも学問的に否定されたらアメリカに不利になるし、学問的に決着が付くまでは決め手にならない。 見極めるには何十年も何百年もかかる可能性さえある。 確実なのは習近平とWHOの関係に焦点を当てることで、さもないとコロナに関する対中包囲網は崩される危険性を孕んでいる。 それを危惧するのである(参照:1月31日のコラム)。

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